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小児・側彎

担当:藤原 憲太、藤城 高志

側彎に関しましては、手術の際は脊椎班の強力なサポートをいただいております。また、ナビゲーションの導入に伴い手術の矯正率が徐々に向上してきております。(図1、2)。装具療法では、新たに矯正力に優れたSNNB(瀬本永野式夜間装具:図3)を導入し、ウイーニング時のコンプライアンス向上を目指しています。
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図1. ナビゲーションシステム

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図2. 矯正率82%
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図3. SNNB瀬本永野式夜間装具
 
小児整形では、乳児股関節エコーに利用する新しい検査台の開発(少しずつですが売れています)、股関節鏡の小児疾患への応用(化膿性股関節炎など)を大原先生にお願いしています。

小児科の先生を中心に共同で、JIA(若年性特発性関節炎)に対する超音波の知見(図4)を蓄積しています。
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図4. 12歳女児 多関節型JIA:第Ⅰ足趾MTP関節

胸部外科と共同で、開胸術後の胸郭および脊柱変形の研究、胸郭変形に対するプロテクターの開発(図5)を進めています。
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図5. 胸骨突出予防プロテクター(プロトタイプ)

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こどもの整形外科は、新生児から思春期までの脊椎と主に下肢の疾患を扱います。こどもは大人と違って正確に痛みの部位 や性状を表現できないこともあります。保護者の皆様の“ちょっと気になる”に重大なヒントが隠れていることがあります。こどもの整形外科でよく扱う疾患の 症状を並べて見ました。当てはまることがあればご相談ください。

脊椎疾患

「肩の高さが違う」「最近猫背が目立つ」「立っていると躯が傾いている」 「学校検診で“そくわん”と言われた・・」

脊柱側彎症

「頭がいつも傾いている」「首が動かしにくい」

筋性斜頚

下肢疾患

「歩き方がなんとなくおかしい」「走るとよく転ぶ」

歩容異常

「膝の間のすきまが目立つ」

O脚/X脚

股関節疾患

「おむつが当てにくい」「脚が開きにくい」「ふとももの皺の数が違う」 「小さいころ股関節の病気をした家族がいる」

先天性股関節脱臼

「急に脚を動かさなくなった」「機嫌悪く熱がある」

化膿性股関節炎

「最近足を引きずり歩いている」

ペルテス病

「急に膝のあたりが痛くなった」「歩きかたがおかしい」

単純性股関節炎

「以前から股関節が痛かったが、急に歩けないほどの痛みが出た」「ジ ャンプした後から急に股関節に激痛が出現した」

大腿骨頭辷り症

足/足関節疾患

「生まれた時に足の形の異常を産科医、小児科医に指摘された」

先天性内反足

「足がぺったんこ」「土踏まずがない」

外反扁平足

子供のリウマチ性疾患

「膝の腫れが長く続く」「いろんな関節を痛がる」

若年性特発性関節リウマチ

以上に代表的な症状を挙げましたが、年齢や性別によっても、よくおこる病気の種類は違いますし、こどもの症状は刻々と変わります。くわしくは、各病名をクリックしてください。

脊柱側彎症

【疾患の定義】

『脊柱は前額面においてはほとんど直線状で生理的弯曲を示さず、も し脊柱が前額面において右あるいは左凸に弯曲する場合、側弯と称し、一定の弯曲度を超え、椎体の回旋を伴う変形を側弯症と称する。』と1983年に刊行さ れた日本の小児整形外科の教科書には書かれています。アメリカの教科書Tachdjian には以下のように記載されています。『A lateral deviation of the normal vertical line of the spine when measured on a radiograph, is greater than 10 degrees. 』つまりは、レントゲン上の計測角度(Cobb角)が10°を超えるものを側彎症と呼称しましょうということです。

【特発性側彎症について】

ここでは、側彎症という脊柱の変形の約8割を占める特発性脊柱側彎 症について解説します。まず『特発性』という用語ですが、これは英語の『idiopathic』の訳語であり『原因不明の』という意味をもちます。現在、 側彎症の成因についての研究が多数なされていますが、未だ原因についてははっきりしません。この特発性側彎症はいくつか特徴があります。まず女の子に多いということ。発症年齢によって乳幼児特発性側彎症、学童期特発性側彎症、思春期特発性側彎症に 大きく分かれますが、なかでも思春期に発症する割合が多いことで知られています。以前は検診制度がなく高度に変形した側彎症が多発した時期が日本にもあり ましたが、現在では側彎症の学校検診が各自治体で行われています。変形が高度になる前に軽症のうちの早期発見が重要です。

【高槻市の側彎症検診】

高槻市の側彎症の学校検診についてご紹介します。まず1次検診では小学校5年生・中学校1年生を対象に全員のモアレ写真(右の写真:背中に光を当てて対称性や凹凸を判定します。)を各学校ごとに撮像します。このモアレ写真を当教室の側弯班医師が判定し、非対称と判定した児童 や養護教員・学校医が脊柱変形を疑った児検診対象者とします。 2次検診では、医師が学校に出向き視触診をします。視触診の異常(明らかな側弯・明らかなhump・脇線の左右非対称・肩の高さの左右差など)を認めた児童は3次検診対象となります。3次検診では、各医療機関で脊椎のレントゲン撮影が行われ,整形外科医による診察が行われます。

側彎症の学校検診:視触診のポイント

【彎曲度の判定】

弯曲度すなわち側彎症の重症度は、単純X線正面像でのCobb角を用いて計測します。
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このCobb角計測が、側彎症の重症度を判定する重要な指標です。

【側彎症の治療方針】

Cobb角による重症度の判定で今後の治療方針を決定します。

以下の項目では、それぞれの治療方法について解説します。

【側彎症の治療:装具療法】

当科では、小野村名誉教授が開発した『大阪医大式装具:OMC brace』を用いて 軽症の側彎症の治療を行っています。

【側彎症の治療:牽引・体幹ギプス療法】

中等度の側彎症の治療には、入院してのコトレル牽引、リッサーテーブルを利用した体幹ギプス治療を行っています。

【側彎症の治療:手術療法】

重度の側彎症の治療には、手術的治療を行っています。現在は後方からのアプローチでの矯正固定術を行っています。

O脚/X脚

【O脚とは】

両側膝関節が外方凸に彎曲した変形(内反膝)

【X脚とは】

両側膝関節が内方凸に彎曲した変形(外反膝)

【小児の下肢のアライメントの変化】

O脚/X脚のような変形を論じる前に、正常の発育を知っておきましょう。
まずは、赤ちゃんから7歳までの膝の肢位の劇的な変化を理解してください。赤ちゃんの時は、当然O脚ですね。1歳前後の歩き始めの時期もまだO脚です。こ の時期心配になって病院につれてくるお母さんが多いですが、ほとんどが心配いりません。2歳になると膝はほぼまっすぐになり、3歳ごろまでに今度は反対に X脚になります。この時期も来院が増えます。その後7歳ぐらいまでに成人と同じ程度のX脚(生理的外反膝と言います)になります。
膝の形が病的かどうかはこの正常発育からどのぐらいずれているのかを検証する必要があります。

【簡単な診断方法】

両足関節をそろえて立位をとらせても左右の膝内側が接しないもの。
この時、膝の間に指が4本以上入ると年齢を問わず注意が必要です。

何に注意すべきなのでしょうか??

【O脚の鑑別診断】

両足関節をそろえて立位をとらせても左右の膝内側が接しないもの。
この時、膝の間に指が4本以上入ると年齢を問わず注意が必要です。

骨端症であるBlount病に注意が必要です。この病気と診断されると、装具治療、ばあいによっては手術治療が必要となります。
また、くる病や骨系統疾患のような全身の骨の状態が悪くなる病気が隠れていることも稀にあります。

先天性股関節脱臼

【先天性??】

『先天性』とあるので、生まれた時、あるいは生まれる前から股関節が脱臼している と思われがちですが、生直後から脱臼していることはあまりないのです。むしろ生まれた後の股関節の状態が大きな要素であると最近は考えられています。

【用語の問題】

日本語では先天性股関節脱臼、ラテン語ではLuxatio Coxae Congenita=LCC ドイツ語ではangeborene Huftgelenkverrenkung、英語ではCongenital Dislocation of the Hip=CDHと言われていました。が近年英語圏での表記が Developmental Dysplasia of the Hip=DDHと変わりました。現在この英語の用語に相当する日本語用語を『発育性股関節形成不全』とするか学会で検討中です。

【先天性股関節脱臼の診断】

大人の股関節と違い、小児の股関節は軟骨成分に富んでいます。そのためレントゲン像では、骨頭は描出されません。そこで当教室では、超音波を使用して先天性股関節脱臼の診断を行っています。この結果により治療方針を決定します。

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【先天性股関節脱臼の超音波結果による治療方針】
Graf法による重症度の判定で今後の治療方針を決定します。

以下の項目では、それぞれの治療方法について解説します。

【先天性股関節脱臼の治療:RB療法】

当科では、鈴木良平医師がチェコより持ち帰り、現在では脱臼治療に欠く事のできないリーメンビューゲル(RB)という装具を使って治療しています。
リーメンビューゲルとは、乗馬の際に足を置く『鐙(あぶみ)』のことです。

【先天性股関節脱臼の治療:牽引(オーバーヘッド)療法】

RBで脱臼が整復出来ない場合や、超音波の所見が完全に脱臼した状 態である場合は入院しての牽引治療を行います。この牽引治療を『オーバーヘッド』と呼称する理由は、写真のように牽引する器具が、徐々に頭の方へ移動して いき、最終的には頭よりも頭側に牽引機械が設置されることから来ています。この牽引の最終段階では整復の状況を確認するために、全身麻酔下に関節造影を行 います。この結果によりギプス固定、装具処方、もう一度牽引治療、手術治療などの以後の治療方針を決定します。

【先天性股関節脱臼の治療:手術療法】

当教室では、田辺剛造医師を嚆矢として、今や小児の股関節を扱うほとんどの施設が取り入れている『広範囲展開法』による脱臼の整復術を行っています。

【先天性股関節脱臼の治療:外来での経過観察】

脱臼が整復されても、まだまだ発達途上の股関節ですので、通常8歳まで外来での 経過観察が必要です。